宇宙飛行士になった旅客機パイロット。 宇宙飛行士 大西卓哉さんの生き方！
去る七夕の夜、大西卓哉（おおにし・たくや）さんを載せたソユーズ宇宙ロケットが飛び立ちました。それまで宇宙飛行士という職業について特別な感情をいだいたことはなかったのですが、大西さんの異色の経歴を見て、興味がわいてしまいました。
というわけで、今日は大西卓哉さんを紹介したいと思います。
画像出典：大西卓哉さん、七夕に夢かなえ宇宙へ ソユーズ打ち上げ成功（画像集）
旅客機パイロットの夢。
大西さんは今回、国際宇宙ステーション（ISS）に4か月間の長期滞在を行います。その間、実に250を超える様々な実験を行うそうです。新素材や新薬の開発などにつながると言われており、各界からの期待を集めています。ぜひ、日本の誇りとなる発見をしていただきたいですね!
そんな大西さんの前職は、ANAのパイロット。ボーイング767型機の副操縦士として活躍し、34歳（2009年）の折にJAXA（宇宙航空研究開発機構）の日本人宇宙飛行士候補者に選抜されました。
大西さんが宇宙飛行士を志したのは、東京大学1年生の時に観た映画、『アポロ13号』がきっかけでした。地上の人が涙を流しながらロケットを見送るシーンを見て、多くの人の夢や希望を背負ってミッションに挑む宇宙飛行士の姿に感銘を受けたそうです。
しかし、大学2年から航空宇宙工学科に入ったものの、卒業後はANAのパイロットの道を選びます。ANAでは厳しい訓練を乗り越えて副操縦士になり、次は機長になるべく努力していました。
そんなある日、滞在先のホテルで、10年ぶりに宇宙飛行士選別試験を実施するという記事を目にします。精神的にも肉体的にも充実しつつあった32歳の時でした。この絶好の機会を逃すまいと、大西さんはすぐさま受験を決意しました。こうして宇宙飛行士への道が拓け、様々な試験を通過したのち、正式に宇宙飛行士候補者に選出されたのでした。
大西さんの魅力とは！？
ざっくりと大西さんが宇宙飛行士になるまでをたどってみましたが、大西さんの成功の秘訣を考えると、次の2点があるのではないかと思います。一つは、少年のような夢を持ち続けること。もう一つは、目の前の自分がやるべきことに一生懸命に取り組むこと。
実際、宇宙飛行士に選抜される前の人生では、大西さんは特別なことは何もしていなかったといいます。筑波宇宙センターで開催されたイベント（2015年4月18日）の中で、大西さんは子供達からの質問に次のように答えています。
「パイロットという仕事を6年間ぐらい一生懸命やってきて、僕がすごくラッキーだったと思っているのは、その経験が宇宙飛行になるときに選抜試験でものすごく役に立ったんです。」「今やらなければならないことだったり、勉強っていうのを、一生懸命やることっているのは、すごく自分の力になりますし、将来自分のもっとやりたいことをやるときに、すごく活きてくると思うんです。」
（参考：【宇宙教育テレビ】大西卓哉宇宙飛行士と話そう 21:30頃）
私が大西さんから学んだことは、この物事に対する受け止め方です。大西さんが宇宙飛行士になる前も、そして宇宙飛行士に選出されてからも、必ずしも順風満帆ではなかったと思います。宇宙飛行士の訓練は軍隊訓練並みの大変さのはずです。ふつう、人は様々に"痛い思い"をすると、傷つくのを恐れて勇気が無くなったり、挫折感を引きずってしまったりするものだと思います。しかし、大西さんが優れているのは、そういった環境の中でも心を揺らさず、常に冷静に受け止め、それを乗り越えるべく淡々と努力してきたところです。だからこそ、一見平凡に見える大西さんが、宇宙飛行士という大きな夢を実現できたのではないかと思います。
参考：大西卓哉宇宙飛行士 長期滞在概要（JAXA 宇宙航空研究開発機構）
『スター・ウォーズ』と『アポロ13』に憧れて、民間航空機のパイロットから宇宙飛行士へ（ハーバード・ビジネス・レビュー）
【インタビュー】JAXA 大西卓哉宇宙飛行士についてANAの同期パイロットに聞く（トラベルWatch）
大西卓哉さん、七夕に夢かなえ宇宙へ ソユーズ打ち上げ成功（THE HUFFINGSTON POST）
大西卓哉ら3人の宇宙飛行士は、これから宇宙で何をするのか（WIRED Audi INNOVATION AWARD 2016）
