教育

2017年01月31日(火)

この記事を書いた人: Yosh Yosh

融資の担保は「ニシキゴイ」!?

こんにちは。sugitaです。またまた新聞記事で目についたのがあったので、それについて書きます。

シュンペーターの『銀行家』論

「銀行は日傘しかない」――よく言われる言葉です。事業者の心情が伝わってくるような気がします。

実は私は経済学部卒で、個人的にシュンペーターを研究していました。この人は、「イノベーションが経済を進化させる」ということを初めて理論化した経済学者で、祖国オーストリアで銀行の頭取になったり、ハーバードで教授になって、経済学部生なら知らない人はいないであろうサミュエルソンを教えたりしました。シュンペーターは独自の金融理論でも有名です。簡単に言えば、昔の長銀のように、銀行は起業家を育てるように、長期的に融資をすること。しかも、将来性のある革新的な事業に融資することを述べました。

明治維新後に我が国の金融業界の基盤をつくった渋沢栄一は、似たような考え方を持っていた人でした。(渋沢がつくった銀行は、「第●●銀行」という名前で今も全国各地にあります)

ただ、1990年代以降の我が国では、いわゆるアメリカン・スタンダードの波が押し寄せ、短期的な利益を追求する金融哲学が席巻しました。バブル崩壊後に多くの企業が借金返済に追われたためか、企業は今でもなかなかお金を借りようとしません。

ニシキゴイに魅せられて

ところが、新聞にはおもしろい事例が載っていました。なんと、北越銀行(新潟)が、ニシキゴイを担保に融資した事例があるというのです。

普通、銀行は土地を担保にすることが多いです。価値を評価しやすく、逃げ出さないからです。しかし、北越銀行は去る15年、ニシキゴイの生産を行う田中重雄さん(現62)に融資を行いました。

最初は、行内でも「価値が分からない」と慎重派が多かったようです。しかし、よく調べたら海外の富裕層にニーズがあり、なによりも経営者の田中さんの熱意と地域での信頼を評価して、融資を決めたのだそうです。新潟県中越地震の壊滅的な被害の中から立ち上がり、融資を受けて事業を展開した田中さん。欧米やアジアに輸出が増え、16年の売上高は、震災前に比べて5割も増えたのでした。

未来を開く、「小さな起業家たち」

事業の未来を決めるのは、人の熱意である。この記事を読んでそのように感じました。

事業を起こすまではいかなくても、私たちはそれぞれの職場において、小さなクリエイティビティを発揮する場面は数多くあります。そうした中で、難しそうな課題を見てすぐに諦めるのではなく、様々な意味での「発明」ができないか考えて、乗り越える。そして、銀行のようなパートナーの協力を仰ぎ、見事、仕事を成功に導く。

そうした「小さな起業家たち」が集まってこそ、この日本がさらに繁栄していくのではないか。そう思いました。

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